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2014/04/08
特集のカテゴリ: 造形
号泣している照英の胸像ください!!!!
 

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かつてネット上でスポーツ系タレント”照英”を玩具としたコラージュブームが沸き起こり、数々のくだらない(よい意味で)照英コラ画像がネット上を駆けまわった事があった。そんな折、私も画像では無く、造形というジャンルのもと悪ふざけを行っていた。
この記事では、胸像制作に必要な道具、造形、塗装、仕上がりまでの過程を簡単に紹介。もつ興味を持つことがあれば、ぜひ素晴らしき粘土造形の世界に飛び込んでほしい。
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用意したもの
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胸像の制作にあたって用意したものは、スカルピー、スパチュラ、アクリルガッシュ、アセトン、グロスゲル、サフ、トップコート。他にスカルピーの焼き上げに必要なオーブントースター、エアブラシ、筆、アルミ箔など。スカルピーは常温で造形が用意に行え、焼成する事によりプラスチックに近い硬度を得るの事できるオーブン粘土だ。アセトンはスカルピーを溶かす事ができ、整形後表面を筆で撫でつける事により凹凸を滑らかにする効果がある。
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制作プロセス
アルミ箔を芯材とし、スカルピーを盛り付け、削り、盛り付け、削り…の繰り返しだ。造形が終わると表面をアセトンで均し、オーブンで焼成。塗装を行い、仕上げに肝心要の涙をグロスゲルで施すといった流れを経て完成となる。細かい工程の記録を忘れていたので、以下のプロセスでは大まかな流れを掲載してあるが、作業内容として特に高度な事は行っておらず、単純に盛っては削りの繰り返しだ。
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アルミ箔を丸めた芯材にスカルピーを盛り、大まかな顔の形を造形。資料を見ながら、鼻・目・口の位置を決定する。
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先に口の中のディティールを作り込む。芸能人は歯が命とは古の言葉であるが、現代においてもそれに代わりは無い。
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目・鼻・唇を中心に、更にディティールを追い込んでゆく。泣きの表情を再現する為、鼻から口にかけての皺を表現。
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瞼を閉じ、口端の表情を試行錯誤しながらモデリング。まだだ、まだ全然悔しさが足りてない…!まだまだ作り込みが必要だ。
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納得ができる範囲で表情のディティールが固まった。
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顔面の細かい皺を施し、髪、耳のモデリングを開始。
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首、肩まで一気に盛り、一旦資料と見比べて全体のバランスを確認。
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休憩。安酒で喉を潤しながら、一生懸命仕上げた創作物をニヤニヤと眺める至福の時間であるが、家族からの非難が止まない。
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モデリングのフィニッシュに向かって一気に仕上げてゆく。耳、髪のディティールを作り込んだ。胸像らしく、両肩をカット。
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モデリングFIX。表面をアセトンで撫でつけ、スパチュラでついた凹凸を均してゆく。※アセトンは毒性・引火性が強いので取扱注意!
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いよいよ焼成。温度調整のできない安物のオーブンなので、焦げ付き防止にアルミ箔を被せ、蓋を開けたまま焼いた。
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焼成完了。表面はマット調に変化し、スカルピー独特の硬さに仕上がった。胸像も心なしか嬉しそうだ。
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塗装のベースとしてサフ吹きを行った。グレーになると細かい陰影が浮き上がってくる。
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まずは筆で大まかに塗り分ける。アクリルガッシュは乾きが速く、塗った先から乾いてゆくので効率が良い。
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ここからはエアブラシを織り交ぜて。
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塗料の吐出量を絞り気味にし、ハイライト、シャドーを吹きつけてゆく。
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ほぼ塗装は完了。この後に眉毛を描き込んだ。
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涙の表現はGOLDENのハイソリッドゲルを用いた。
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粘性が高く、塗り辛い。適当に置いた後、爪楊枝の先で形を整える。
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完成。乾くとご覧の光沢に仕上がる。※ちなみにエントリートップの画像は涙を塗る前に撮影したもの。
つくってみて思ったこと
今回材料として用いたスカルピーは石粉粘土や模型用パテと違い、焼成するまで固まらないという利点がある。その利点を存分に活かし、時間を掛けてじっくりと粘土造形でき、落ち着いて楽しむ事ができた。経験が殆ど無くともそこそこリアルな人物を造形できたこの経験は、日頃より薄汚れた会社のデスクで1日の大半をMacと共に生きる二次元脳が、三次元への道を歩み始める為のきっかけとなった。
反省としては、造形の追い込みが甘く、あまり似ていない事。特徴はつかめているので、次に作る機会があれば更にディティールを追求したいところだ。他には肌の色が濃くなりすぎ、照英というよりは松崎しげる色になってしまったのが悔やまれる。塗装前にサフ吹きを行った段階が一番似ていたという事実は、いかに己の塗装技術が未熟であるかを現しているのだ。
照英その後
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完成から数年。我が家のインテリア、いや、家族の一員として現在でも健在だ。
制作プロセスの画像を動画に編集して動画サイトにも投稿してみたが、あまり似ていないのでコメントで罵倒されると思いきや、意外にもウケていた。「これ生首だろ」という指摘については的確過ぎてぐうの音も出ない。
ネタの題材としてはとうに旬を過ぎた感のある照英ではあるが、「流行」などという現象はきっかけに過ぎないのだ。
粘土での造形に限らず、もっとリアルに、もっと本物らしく、魂を込めるべく、私はこの道を敢えて突き進む。たぶん。